頭で考えなくても出来るようになった仕事は、人に対して何かを伝えるという点ではうまくいっていないかもしれません。
バリウム飲みながら感じたこと
年に一度の健康診断の日でした。ここ数年同じ病院を利用していて、この検診の受付対応してくれる人は前と同じでした。視力検査やら心電図やらいろいろ検査があって、最後がバリウム飲んでから台の上でグルグル回るやつでした。
その検査の前は、胃の動きを止める注射をしたり(肩に筋肉に注射されるので痛い)、発泡剤を飲んだり、バリウム飲んだり、下剤飲んだり、いろいろ手順があるので、検査担当者がそれを一通り説明してくれるんです。でも、それが全然良く分からないんです。たぶん、説明すべき文言は一字一句間違えてないんですが、全く抑揚がなくて、滑舌がはっきりしてなくて、頭に入ってこないんです。これにはちょっと違和感を感じました。
こちらも、検査される側としてそれなりの回数をこなしているので、どうすべきかはもうわかっているので別に問題はないんですが、初めての人には良くわからないんじゃないかなという感じの説明でした。
この検査担当者はおそらく、同じことを何年も毎日やっているうちに、もう頭を使わなくても勝手に言葉が出てくるようになっているんでしょうね。
この感覚、自分でも身に覚えがあるんです。技術セミナーなどで同じ説明を何回も何回もやっていると、そのうち、頭で考えなくても説明ができるようになるんです。その説明をしゃべりながら、頭では次のことや全く別のことを考えたりできるようになります。
ただ、この領域に入った時の問題は、
聴いてる相手のことまで考えられなくて、完全にこっちのペースでやってしまう
という感じになるんですよね。
でもこうなるのは、説明する本人の問題でもありますが、仕組みの問題でもあると思います。
人間がすべき仕事を見極める
同じ説明でも、初めて来た人向けに毎回親身になって対応できるかというと、説明する側も人間ですし毎回フレッシュな気持ちでというのはなかなか大変ですよね。それがその人の仕事だろ?と言われても現実はなかなか難しいことでしょう。担当者にしてみればもう分かりきった手順だし、新鮮味がなくて飽きてる。毎回同じ説明をすることに疲れているはずです。
でも、通り一遍の説明でよければ、いまなら Pepper でも置いとけばいいということになります。まあ、いまは検査手順として、担当者がちゃんと説明しなければならないという規定がきっとあるんでしょうけど。
ロボットや IT 技術をもっと駆使して、自動化(汎用化)できる部分と、検査担当者(=人間)が対応する部分とを上手く棲み分けして、検査担当者が疲弊しないようなシステム作りは可能なんじゃないか、それが結果的に顧客にとっても良いのではないか、と思いました。
うまく説明できないですが、ちょっと違和感を感じたので書いておきます。