『仕事が出来る』とは、工数の見積もりを正確にできるということではないか

最近思うことです。もちろん、仕事をきっちり実行するということが最も重要なのですが、その前段階として、何にどのくらいの時間を要するのかを、はっきり正確に主張できることも、同じくらい重要なのだと思います。

 

あんまり仕事してなさそうだけどきっちりリリースしてくれた

過去に、とあるプロセッサ検証ツールを扱っていました。顧客のプロセッサアーキテクチャに沿った環境を作りこむ必要がありますから、プロセッサの仕様書を提示したうえで、開発側に、こういう機能の実装まではこのくらいまでかかって、最終的な完成品はこのくらいの時期になるというスケジュールを引いてもらいました。
開発のひとは、家庭の用事(子供迎えに行くとか)などで現地の夕方にはいなくなります。おいおいこれで大丈夫かな、と思ったものですが、結局はきちんとスケジュール通りに出してきました。もちろんバグがあったりはしましたらそれは許容範囲内です。スケジュール通りに出せるというのは、過去の経験の蓄積による、細分化したタスクへの工数感覚が正確だということなのだと思いました。

きちんと説明できることが重要

自分でスケジュールの線が引けて、それに顧客が納得しれくれればそれに越したことはありません。ただ、現実には、プロジェクトのほうで既に線が引かれてしまっている、あるいは、こちらで引いたスケジュールに顧客が納得してくれない、というケースも考えられます。ここで日本企業で見られるのは、

『頑張ってスケジュールにミートさせろ』

という精神論です。特に営業さんはビジネスを成立させてなんぼですから、この傾向が強いです。戦時中から変わってない感覚です。確かに、根性でミートさせればなんとなくかっこよくて、武勇伝的なネタにもなるかもしれませんが、私はこういう姿勢には批判的です。なぜなら、担当者が疲弊し、その人の人生を犠牲にすることになるからです。この状態は普段の姿になってしまっているのが、いわゆるブラック企業なのでしょう。

スケジュール感に食い違いが生じる場合、私が思うのは、

  • こういう機能の実装は細分化するとこのような工数がかかり、結果的にこのようなスケジュールになる、と引いたスケジュールの妥当性をしっかり主張すべきだということ
  • スケジュール重視であれば、機能の削減を具体的に提案すべき

ということです。こういうことをしっかり説明して納得させるのがエンジニアの大きな仕事のひとつと考えますし、経験のある分野であればこれが出来るはずですが、エンジニアはあまり主張しない人が多いですね。

ところで、経験のない分野で、(経験的な根拠はないけど)理不尽なスケジュールになっていたらどうすれば良いのでしょうか?

とにかくコミュニケーション、そして日々の活動メモ

経験のない分野では、いきなり、スケジュール的にどうこう言える立場ではないので、とりあえず取り組むしかないでしょうね。以下、私が思うことです。

1.コミュニケーション(周りの人に聞く、状況を理解しておいてもらう)

経験があれば自分で進めていけることが多いでしょうが、そうでない分野では手探りですから、他の人のヘルプなしではなかなか進められないものです。全体像が見えないなかで進めるというのは、何が分からないか分からない、みたいな状態にもなりがちですが、なるべく噛み砕いて、ここまでは分かっているけどここからどうすればいいのか分からない、というように明確にして、とにかくコミュニケーションを増やすことだと思います。これは、状況を周りのひとにもなんとなく理解しておいてもらうという効果もあります。

2.作業プロセスの記録

それと、自分の活動をきちんと時系列でメモしておくことです。バタバタ活動してると、1週間前の詳細など確実に忘れているし、2、3日前の出来事ですら怪しくなります。PC上のメモでもいいので、日付とAM・PMくらいの区分けでとにかく正確にメモしておくことです。それが後に自分の資産になります。

3.キリのいい時にレビューし、今後のスケジュールを見て意見する

仕事上ある程度キリのいい時がきたら、関係者を含めてレビューをするといいです。こういうタスクを実行するために、具体的にこういうやり方で実行してこの位かかった(メモをベースに)、という話です。
そうすると、仕事のやり方が正しかったのかどうかのフィードバックと合わせて、残りの各タスクもどのくらいで出来そうだねという認識が関係者の間で共有できてきます。その時点で、当初スケジュールに比べてどのくらいヤバイのか、という感覚を共有しておくことが大事だと思います。で、これまでの活動実績に基づく今後の見通しをはっきりさせて、プロジェクトマネージャに相談すべきです。つまりは、

ダメならダメで早めに(根拠を持って)説明できるようになって、ヘルプを依頼する

のがお互いのためになると考えます。

楽なほうをとるか、その後の広がりを求めるか

当然、仕事としては、やったことがあることのほうが楽です。主題に戻りますが、経験豊富な分野のほうが工数の見積もりもより正確でしょうし、それが『仕事が出来る』ひとつの指標になると思います。発注側としてもそういう部分を求めるでしょう。

ただ、自分自身としては、経験のあることだけだと活動の広がりにも限界があるし、何より守りに入っている感覚がしてしまいます。
やったことがない活動は、ストレスフルなものですが、新しい経験により活動に広がりが見えてきます。だから、新しいことをやらせてもらえる環境を与えてもらうというのは、大変ありがたいことなのだろうと思います。そして、上記のように、経験のない分野でも、できるだけ早く工数について根拠をもって主張出来るように自分を持っていく、というのが重要なのだと思います。

仕事にかぎらず、日常生活でもそうですが、新しいことに尻込みし守りに入るというのは、いわゆる『老化』の象徴なのでしょうね  :lol:

頑張りましょう。

 

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