製品評価をつうじた Win-Win の関係の作り方(2/2)

ソフトウェアベンダ側担当者が気をつけること

  1. 担当者が所属する企業と、担当者自身の目標が異なる場合があることに留意すること
  2. ソフトウェアのリリース日は必ず延期されるものと考える
  3. ソフトの問題点をR&Dに指摘するときは、現象が再現できるテストケースを渡すこと
  4. レスポンスは早く
  5. できれば、自社のR&DもしくはFAEの責任者を、評価側担当者に事前に合わせる

1. 担当者が所属する企業と、担当者自身の目標が異なる場合があることに留意すること

これは結構よくあることです。顧客企業あるいは当該部署としてどうしたいか、という方針を、その担当者からきくことがあるでしょうが、それは組織としての対外的な話で、組織の中で担当者個人がおかれた状況によっては別の視点で見ている可能性はあります。
ベンダー側としては、担当者を見方につけることはとても重要で、将来的には顧客企業内で啓蒙してくれる役割を担っていますので、まずは担当者の真意を捉えてそちらを満足しつつ、顧客企業の目的にマッチさせるよう提案していくのがよいと思います。担当者の望みは比較的短期的なもので、企業の目標は比較的長期的なものが多いので、どちらも満たせる提案は充分可能です。

2. ソフトウェアのリリース日は必ず延期されるものと考える

予定よりも早くリリースされた例をみたこともありますが、どんな種類のソフトウェアであってもほとんどのケースでは遅れるとみたほうがいいでしょう。幸い、顧客側もそういうことにはわりと慣れていますので、R&D はこの日と言ってるけど多分遅れると思います、くらいぶっちゃけてしまっても良いでしょう。
それより重要なのは、リリースを焦るあまり、直る予定だったissueをR&Dが勝手に次バージョン以降にずらしてしまっているケースがあることです。顧客はその問題の修正版を待っているのに、リリースされたものは直っていないのでリリースされても何の意味もない、ということが起こりかねません。いろんな顧客からのいろんな要求を有限の時間のなかでさばかなければならないR&Dの気持ちもわからなくはないですが、注意深くモニターしつつ、その問題の修正は顧客にとって重要ということを何度も主張しておきましょう。

3. ソフトの問題点をR&Dに指摘するときは、現象が再現できるテストケースを渡すこと

R&Dは、問題を報告してもそれを再現できるデータがなければなかなか動きません。これは評価を開始するまえに、評価担当者にきちんと伝えておくべきです。問題によっては、顧客の社外秘データを使用しないとどうしても再現しないというケースにあたるのですが、その場合はベンダ側FAEが顧客に出向いて問題再現データの切り出しを試行することになりますが、最悪、NDA契約したのち顧客データをだしてもらうという可能性もあり得るという点も含めた合意をとっておくことが重要です。

4. レスポンスは早く

担当者がベンダ側に問い合わせしても2,3日無反応、となると、そもそもメール見落としてるのかな?対応ちゃんとしてるのかな?といった疑念を持たれてしまいます。即答しずらい質問、問い合わせの場合も結構あるでしょうがそんな場合でもとりあえず、社内で調査中なので週明けにさらにもう一報いれます、くらいでまず軽くレスポンスしておくのが無難でしょう。

5. できれば、自社のR&DもしくはFAEの責任者を、評価側担当者に事前に合わせる

これはやはり、何か困ったときに無理がきく、というものです。人間は、顧客でしかも実際に会ったことのある人のお願いはなかなか無視できないものです。

まとめ

ソフトウェア評価の目的は技術的な要求が満たせるかどうか、というものが主体になりますが、その技術でもって満足するかどうかは人間が決めるものです。ですので、最も重要なことは、単純に技術的優位性を強調することではなく、担当者およびその後ろにみえる顧客企業の人々の各々にとって満足のいく、少なくとも不満とならない解決策を提供することです。技術のその先には常に人がいて、あくまで相手は人間であるという点を忘れないことが大切でしょう。そういう意味では、ソフトウェアの評価とは人間関係の構築なのかもしれません。適切な人間関係の構築ののちに導入されたソフトウェアは、その後の運用でも大きな問題にならないように思えます(問題は発生するけど双方が迅速に対応できる)。

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