Twitter でもちょっと書いたのだが、こちらの記事が興味深かった。
簡単にいうと、アメリカでも理数系出身者が余り気味で、引く手あまたという感じでもなくなっているというもの。
STEM とは
科学(Science)、技術(Technology)、工学(engineering)、数学(Mathematics)
ということらしいです。幅が広いし、同じ国でも需要の地域差もあるだろうから、まあ、一概には言えないのだろうけど。
思うのは、同じたとえばIT分野でいっても、要求されるスキルがすごく細分化されていて、分野が少しずれる全然わけがわからない世界になってしまうから、「こういう人がほしい」という需要が、各スキルごとにだいぶバラつきがあるのではないか、ということ。
Aというスキルにたいする企業側の需要が大きい。一方、自分の持っているスキル・強調できるスキルはBのみ。Aに近いようにみえるけど実は全然違う。Aに関して即戦力であるとはとても自分で思えない。Bというスキルにたいする企業側の需要は極端に少ない。
なんていう状況が結構あるような気がする。問われるのは多分経験だから、Aも個人で勉強していますが実務上はBをやってきました、というのが通じるかどうかですな。
その会社でしか通用しないスキル、なんてのはもう論外だけど、その業界のなかで、いい意味でツブシが効くスキル、中長期的に業界内で必要とされるスキルが何であるかとちゃんと見極める選球眼が必要になる。会社から指示されたからこの仕事やっている、ってだけじゃそのスキルどうなるかわからんね。
あと、その選球眼次第ってとこもあるけど、このスキル一本で勝負!っていうのもちょっとリスキーかなという気がしてる。その需要が万一なくなったときにどうなるか。
理想は、いくつか柱になるスキルがあって、それらが実務上でうまく繋がるケース。点が線で繋がるってやつですね。
理系人間のステレオタイプから脱する
惰性で書いてきたが、言いたかったのは3点
1)特に日本では、理系・文系を比較すると、理系がその労力に見合った報酬が得られている感じはしない。こちらの記事によると、理系が文系より42万円高いらしい。たったそれだけ?
2)一番難しいスキルは、特定のテクノロジーを習得することではなくて、人間を扱うこと(ヒューマンスキル)なのではないか?
理系出身者の一種のひがみとして、
こっちは一生懸命勉強しているのに、文系のやつらは社内外のひとたちにうまく立ち回って、大した努力もせずに高収入を得ている
というものがある(もしかして私だけですか?)。ただこれも、文系は人をうまく扱う、という技術を駆使しているのだと考えればいい。
3)技術的にはいくらでもキャッチアップできるから、テクノロジーにかける情熱の3割くらいを生身の人間に向けてみるようにすると、もっと評価されるかも?
まあ、人に媚を売るのが嫌いだから理系なんだ、という人もいる。また、100%情熱を傾けなければ突き抜けたモノはできない、という考え方もあり、その方向で理系の地位向上を図るのは筋ではある。ただ、イチかバチかみたいなところもあるので、それなら、文系的要素をうまく駆使できるよう努力することのほうが、理系の地位向上に貢献すると思う。それには、人とコミュニケーションして自分の言いたいことを確実に伝えて、相手の言いたいことを確実に理解することはとても高いスキルなのだ、という認識が必要だ。
その先に人間(顧客)がいる
ま、そもそも、理系だ文系だといっていること自体がもう時代遅れなのだろう。両方のスキルをもったハイブリッド人材がどの業界でも要求されると思う。そのとき、特に理系ベースの人が陥りやすいのは、
「その先に人間(顧客)がいるという意識の欠落」
だと思う。技術的にこの問題を解決したら勝ちだと考えてしまう。でももしかしたら、あなたの顧客は、高い技術でもって問題を解決したいとすら思っていないかもしれないのだ。最終的には、つかみどころのない生身の人間が相手になる。ひとつひとつが全て異なるスペックをもった複雑なシステム=人間を扱うのは本当に難しい。