第二章「籍」の思想との対峙
アメリカやオーストラリアでは、本人と出生地のコミュニティーとのつながりを重視するのだが、日本では血のつながりが第一である。
これは、何かにつけ戸籍に引き摺られる日本の制度という文脈の話なので、良い意味でのファミリーとしての繋がりが大事だと考えられるのは洋の東西を問わないと思う。
私たちが世界に向かって心を開こうとするとき、常に障壁となるのはこの「籍制度」である。しかも、この志向は日本人の無意識をとらえているので、ことは一層やっかいになる。
第三章「ものいえば唇寒し」からの自由
まず、自発的発言を制止する力として
- 外からの圧力:会社から承認をとる必要があるなど
- 内からの規制:失敗を恐れて行動しない
が挙げられている。1.については、伝統的な日本の会社では今でもそうなのだろうと思う。
また、年配のひとが抱きがちな問題として、
- 年上の者が年下の者に対して、自分の価値基準を強制できるはずだという信念
- 日本人同士は共通の価値観を持つべきで、そこから逸脱する者は「日本の恥」だという思い込み
が挙げられている。いずれも、本人は良かれと思っての行動につながってしまうので、まわりの人はなかなか大変だ。三章の最後はこれだ。
「日本は経済的にうまくいっている世界で唯一の共産国ですよ」