これで最後にしよう。
第十二章 テクノクラートの国際化
コーポラティズム
国家の政策決定に、中央官僚組織と、巨大企業や巨大労働組合が関与し、3者の連合のもとに国家内のコンセンサスを創り上げていく仕組み
国際化を推進する中心は、このコーポラティズムの主要構成分子であるテクノクラートエリートである。
こういうエリートを目指す人達が学ぶ英語は偏りがあると指摘する。この傾向は世界中でみられ、テクノクラティック・サブカルチャーとなっている。
日本礼賛論は、あるときは煙幕として、あるときは脅しの材料として使われながら、日本文化至上主義を日本国の内外に売り込む原動力となっている。
この新型のジャパニズムは一種の分化帝国主義として、世界をのし歩きはじめているのである。
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第十三章 ビザ制度の背景にあるもの
国家権力の「聖域」
ある国の政府が外国の市民に対してビザを拒否しても、その政府は拒否の理由を本人に明らかにする義務を負っていない。
国家が他国の市民に対して一方的な罵倒をしたり侮辱をしても、何の歯止めや制裁もないままに事が通るという点に、ビザ制度の特徴がある。
ビザ問題について各国家がお互いをかばい合う現実の下では、この分野で不当なことがあった場合、市民の間の民際的協力が不可欠だということである。
幸い、これまで、入国審査で執拗に質問され続けたり、別室に案内されたり、入国を拒否されたこともないので、あまり気にしたことはなかったが、たしかに、入国を許すも許可するも向こう次第だよな、と思った。
この章の最後のほうでも述べられているが、将来は、藩が消滅して関所がなくなったように、国境がなくなって入国審査がなくなる時代がくるんだろうか?
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第十四章 レイシズムとの戦い
白人社会の良識派のなかに、有色人種を非難することに対する罪悪感がある。
この人たちは、日本人が不当なことをしていると心のなかで思っても、そうは口に出していわない。
これによって日本人は2重の得をしている。
・日本企業はこういうひとたちのナマの批判を受けない
・日本には日本流のやり方がある、という論法を通せる
日本人が草食動物で、西洋人が肉食動物という迷信も、レイシズムに近いものと指摘している。
混乱から身を守るためには、国と国とのあいだの、お互い様という目配りを怠らないこと。
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エピローグ 新世紀の冒険者たちへ
脱日本人への十か条
- 食べ物の好き嫌いをなくす
- 本人とパートナーとが生活上の類似の考えを持っていること
- 子供から学ぶという姿勢を持ち続けること
- 新しく住み着いた社会で、一芸に秀でること
- 個人生活での実験精神が旺盛であること
- その階層ともまんべんなく付き合う
- 住宅をその地に購入することも計画の片隅においておく
- なるべくおおらかな気持ちで毎日を過ごす
- 定着地の言語習得に全力をあげる
日本人をやめる、というのは、広い意味では、日本文化のなかにある束縛的なしきたり、日本社会の非民主的な枠組み、日本人の日常生活を支配する非人間的な構造にアカンベーする人間になるということである。そういう目標に歩を進めるには、地理的に日本に住んでいるかどうか、あまり大きな問題ではない。
自身の民族は他とは違う、優秀なのだという思いはどの民族もみな持っている。既存の価値観や行動様式に思考停止せず自分で考えて行動する。好奇心旺盛に何でも新しいことを試してみること。
ということかな。海外行ったからいいというわけではないという点にも同意するが、日本にいると単一民族すぎて多民族との交流(またはモメること)がないので、日本人とは、みたいなこと考える機会がほとんどないね。日本への移民が増えればイヤでもそういう機会は増えるのかもしれないけど。