昔、某経営系の大学院に社会人入学するにあたり、研究の概要を示した研究計画書なるものを出さなくてはならず、その時やっつけで書いた文章のことをふと思い出した。
もう10年以上前の話だけれども、基本的に思っていることは同じだったということが分かり、その思いが今のNPOに繋がる。
入学にあたっての面接で、そのときの面接官(のちに指導教官となる)に、
『高齢者に使ってもらうのはなかなか難しいよ』
と言われたことだけは覚えている。当時に比べれば、インフラやユーザーインターフェースは格段に良くなっていると思うが、それでもまだまだ高齢者にとっては難しいと思う。それでも誰かがギャップを埋めなきゃね、と思う。
ご参考まで、当時のドキュメントが見つかったので貼っておきます。結局、実際の研究は別のことをやったんですがね。。
ウェブ対応型携帯電話の出現などインターネット接続端末の多様化に伴い、インタ ーネット利用者が急激に増えており、15 歳から 79 歳までのインターネット利用者数 は 4700 万人に達している。しかしその一方で、高年齢層や低所得者層への対策、い わゆるデジタルディバイドの解消が重要な課題となっている。このうち、低所得者層 への対策については、通信料金およびコンピュータ本体の低価格化傾向により、比較 的解決し易いものと思われるが、高齢者層のインターネット利用については、自身の 経験においても、高齢者が自由にインターネットを使いこなしている場面を目にする ことはほとんどなく、まだ敷居の高いものと捉えられている傾向にあると考えている。 オンラインショッピングやインターネットバンキングなど、ネット上での各種手続き は、基本的に個人属性(性別、職業、年齢、収入)や居住地域、利用時間を選ばない サービスであるが、その恩恵を最も享受できると思われる層にはまだまだ普及してい ない。インターネットを利用しない主な要因は、インターネットを利用し始めるため のきっかけがないこと、機器利用能力の障壁などが挙げられている(1)。この問題の改 善策として、地方公共団体や自主運営によって IT 講習会が実施され、実際に体験でき る機会が増えてきていることは歓迎すべき動きであるが、その際の学習効果をより高 めるための手法、システムについては改善すべき余地は十分あると考えている。
研究ではこの点に着目し、高齢者層のインターネット(コンピュータ)利用におい て、最も障害となる点を調査し、それらを解決し、利用を促進できるユーザインター フェースを提案し、試作およびその効果について評価を行う。
1) 現在ソフトウェアベンダやコンピュータベンダから提供されている、使用者の問題解決の手法(オンラインヘルプ、ユーザインターフェース等)の調査を行い、それらのメリット、デメリットについて明確化する。2) IT 講習会等で一般に提供されている、高年齢者層に対する教育システムに関する調査を行う。実際に IT 講習会を開催するなど、現場での声を重視し、現状のシステムにおける問題点を提示する。
3) 初心者(特に高齢者)がコンピュータを利用するうえで直面する問題を、使用者自身で解決しながら目的を達成できるようになるためのインターフェース(ソフトウェア)の開発を行う。
4) 開発したインターフェースを活用した IT 講習会を実施し、それによる学習効果の向上に関する調査を行う。
高齢者層においては、インターネットを使いたくても使えない潜在的な人口はまだまだ多いため、その利用を促進するシステムの提供は大きなビジネス市場となり得ると考えている。この分野について、自身のこれまでのソフトウェア・ハードウェアの バックグラウンドを生かしながら貢献したいが、単に技術的な側面について研究する だけでなく、それらを有効に生かすための経営学、マーケティング等の分野について体系的に学習できる機会を持つことは、今後の自分にとって大きな財産となると考えている。1280 文字