「良い戦略、悪い戦略」という本を読みました。400ページ近いですが、その手の本として読みやすいほうだと思います。
本書のエッセンスを、ひとことでいうと
あれもこれもではなく、的を絞った具体的な行動プランを実行すべき
ということになるのかなと思いました。また、それ以外に、日常生活のなかでもみられる、人間の習性みたいなものに関する記述が、非常に印象に残ったのシェアしておきます。
第一感を疑う
第一感とは、最初に思いついたアイデアということです。マルコム・グラッドウェルの「第一感」では最初の判断が最善であることが多いとされていますが、それに基づく判断が有効なのは、時と場合によるというのが著者の意見です。
・・・のような複雑な状況に直面したとき、たいていの人は困惑する。問題に真剣に取り組むほど、事態は深刻だとわかってくるだろう。そうなると、ますます困惑することになる。
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そんなとき、最初に閃いたアイデアは溺れる者にとっての藁と言える。それっとばかりに飛びついてしまう。
問題は、いったん藁に飛びついてしまうと、藁よりもっと良いものがすぐそこにあるかもしれないのに、もはや気づかないことだ。
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こうしたわけで、人間は何かを思いつくと、それを疑いの目で見てあら探しをするのではなく、何とか正当化することにエネルギーをつかうようになる。たとえ経験豊富なエグゼクティブであっても、だ。おそらくそれが人間の本性なのだろう。簡単に言ってしまえば、われわれは自分の考えを厳しい目で検証するという苦痛な作業をなんとか逃れようとする。だから最初の判断が正しいのだと理屈をつける。しかも自分がいやな作業から逃げたことを意識していない。
太字の部分は私が印象に残ったところです。
世代によっても差がある気がする
これは、日常生活のなかでも無意識にやってしまっていることだと思います。本書の記述から外れますが、自分の意見を正当化しようとする傾向は、歳を重ねるごとに強くなるような気がしています。おそらく、またゼロベースでもとに戻って考えるというのがとても面倒くさくなってしまう、自分のアイデアに No を突きつけることで自分自身が No といわれたような気になってプライドにかかわる、というような意識が裏にあるのではないかと推測します。
問題は無意識だということですね。習性なので仕方がないともいえますが、少しでも客観性をもって判断したいと思いました。