ソリューション提供の一例

変化の時代、変わる力―続・経営思考の「補助線」
変化の時代、変わる力―続・経営思考の「補助線」御立 尚資日本経済新聞出版社 2011-10-26
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「変化の時代、変わる力」という本を読んでいたところ、”おお、これは!”と思うような事例がありましたので紹介します。
ソリューション提供の一例として、製造業がものを作るだけでなく、それが使われる過程で必要なものを全て面倒みるというもの。

引用(p242)
売り物はトラックではなく、走行距離
具体的には、メルセデスベンツの欧州トラック部門のケースが参考になるだろう。ここ数年、別部門を立ち上げ、「トラックではなく、km(キロメートル)を売る」というビジネスを大きく伸ばしてきている。「トラックを開発製造し、ディーラー経由で売る」というビジネスではなく、運輸業者に対して「必要な台数のトラックを手配、荷台部分の架装も施す。利用中のメンテナンスや保険、固定資産管理といったサポート業務をすべて引き受ける。そのうえで、支払い方法は、トラックの走行距離1kmあたりいくら、という形にする」というビジネスだ。

これ、いろんなところに応用できるんじゃないでしょうか?結局、人間は面倒なことはやりたくないものですしね。
自分の売っているものの品質を上げていくことはもちろん重要ですが、それを取り巻く環境を俯瞰的にみてみることも必要だなと思いました。ここで重要なのは、顧客が感じるメリットときっちり対応しているかどうかということだろう。再び引用。

運輸業者は、「トラックを走らせる」ことが重要であり、荷を乗せて走った距離にほぼ比例するような形で収入が上がる。したがって、その他すべてを引き受けてもらい、そのコストも含めた1kmあたりの価格が明確ならば、自分の間接業務にかかわる手間の大幅削減とあわせて、大きなメリットがあるというわけだ。

こうなると、顧客側も働き方のスタンスを大きく変える必要があって、日常の周辺雑務をこなすことが仕事だと思い込んでいると動きが遅くなる。人的リソース的には、顧客側では必要なくなる人材が出てきたりするので、上記例ではある程度はうまくメルセデス側で吸収してあげるなどの措置も必要かもしれないですね。

この本、文章そのものがわかりやすく、かつすごく知的な感じがします。おすすめです。

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